2012年7月21日土曜日

枯れる野菜と溶ける野菜

本日仕事で筑波の中央農業研究センターに行ってまいりました。
いろいろご教示を受け大変勉強になりました。

有機農業の推進に大きく関わりのある硝酸態窒素に関し特に気になりました。
硝酸性窒素は硝酸塩として含まれている窒素のことです。

以前友人が山ほど送ってくれた有機野菜が冷蔵庫で枯れて小さくなっていくという経験があり
同じ野菜なのに枯れる野菜と溶ける野菜????ん?
と思ったことがございます。
これには硝酸態窒素が大きく関係しているのが昨日良く解りました。

硝酸塩は苦味・エグミの原因というだけではないのです。
人の身体に大きなダメージを与えます。

主婦の情報量は比較的多いので、発癌性の危険性等をご存知の方は多いかもしれませんが
毎日食べる野菜と硝酸態窒素の関係を書いておきたいと思います。

近代農業の農業技術の発展はめざましく農産物の生産性は向上しています。
そんな中、過剰な農薬散布と過剰な化学肥料の施肥が問題視されています。

過剰な農薬散布の危険性は、よく知られているように残留農薬。
アトピーなどアレルギーの原因ともいわれ、除草剤・殺虫剤などを野菜と一緒に
体内に取り込んでいると想像するだけでもゾーッとします。

さて、過剰な化学肥料の施肥の危険性というのは何なのか?
最も注目すべきポイントは硝酸態窒素です。

昔から、ほうれん草や小松菜など濃い緑色をした野菜はアク抜きするように継承えられてきましたが
アク抜きは人体に有害な物質を取り除くためにすることで、そのうちの一つは硝酸態窒素です。

硝酸態窒素が体内に取り込まれると消化管の中で亜硝酸へと変わり、
そのまま血液中でヘモグロビン(酸素を運搬している鉄分)と結合し、
酸素が体中に行きわたる邪魔をし、体が酸素欠乏症を起こすのです。

大人は胃である程度の硝酸態窒素を溶かすことができるのですが、
胃液分泌の少ない乳幼児は体内にストレートに硝酸態窒素を取り入れてしまい
ほうれん草などを裏ごしして赤ちゃんに与えたところ、顔が真っ青になり
窒息状態に陥るという事件がおき、10%近くが死亡しているそうです。
欧米ではこれを「ブルーベビー現象」と呼んでいます。

硝酸態窒素が怖いもうひとつの大きな問題は発ガン作用です。
硝酸塩は加熱などで亜硝酸塩に変化します。
それが体内に入ると、胃の中で肉や魚に含まれるアミンと結合して
ニトロソアミンという発ガン物質等の有害物質をつくる可能性があります。

硝酸塩が悪化させるといわれる病気は、ガン、アルツハイマー病、アトピー性皮膚炎、
胃炎、甲状腺の疾患、糖尿病、腎臓、膵臓の疾患等です。
 
硝酸塩は水に溶けやすく野菜全体に残留していると考えられます。
毎日食べている野菜がガンの原因なんて驚くようなことが現実として起こっています。
とっても恐ろしい硝酸塩。

問題視される原因が過剰な化学肥料の施肥であることはまだあまり知られていないようです。
植物にはなくてはならない3大栄養素の「窒素」・「リン酸」・「カリ」
この窒素が土中で硝酸態窒素になり、植物が吸収し還元することで、タンパク質やアミノ酸を形成します。
野菜の栄養や旨みは硝酸態窒素がしっかりと働いているからこそなのです。

もともと土中の窒素はアンモニア態窒素というかたちで存在しているのですが、
実はこのままのかたちでは植物は窒素を吸収することができません。
本来この役割を担い、大活躍するのが土壌微生物たちなのです。
微生物の働きにより、アンモニア態窒素は硝酸態窒素に変わり、
植物に吸収されやすいかたちになるのです。

たくさんの野菜を計画的に生産していくのに農家さんは窒素を効かせるタイミングに
頭を悩ませていました。悩みを解決する登場したスターが化学肥料です。
化学肥料は硝酸態窒素のかたちになっているため植物は窒素を吸収しやすく、
また速効性もあるので急激に広まっていきました。

ところが、この科学肥料に大問題がありました。
植物が硝酸態窒素を吸収し過ぎてしまい、タンパク質やアミノ酸に変えることができずに
野菜の中に残留してしまうことです。つまり、植物が栄養をとりすぎ、生命力がない植物が
育ってしまうのです。人間で言えば成人病患者みたいなものです。

日本の市場に出回っている野菜のほとんどは化学肥料を使って窒素を吸収しています。
必然的に硝酸態窒素の濃度が高く人体への害の可能性もあるし、
植物自体が活性化しなくてもどんどん栄養がとれるので、
個性の薄い味や香りがしない野菜になっています。

本来は、土壌微生物がエネルギー源である炭素の円滑な循環を図り、
正常な食物連鎖をおこななう 戦士です。
土壌中における物質循環の担い手であり、作物の養分の貯蔵源・供給源として
植物に健全な生育をさせる重要な役割をもったお母さんのような存在なのですが、
化学肥料や農薬(主として病気を防ぐ為に使用されている殺菌剤)の登場で、
土壌微生物の数もとても少なくなり、本来の自然な形の物質循環が狂ってしまいました。

硝酸態窒素は環境への影響も多大です。
過剰な化学肥料の施肥により、植物が吸収する以上の硝酸態窒素が土中に撒かれ、
それが雨水などとともに地下水や川に流れ私たちの飲み水に使われています。

現実を知ると怖くなりますが、次世代に食を支える健康な日本の田畑を
リレーする責任がある私たち大人が今しなければならない事は、
草の根運動からでも現実を知り、自分ができない専門的なことは応援団として、
自分ができることはコツコツと危機感を持って取りくみたいと切実に感じました。

なんせ食は次世代を担う子どもや家族、大切な友人の健康、命に
直接関わることなのですから。
恐怖感をあおるつもりは全くありません。
現実を知ることは大切なことです。
現実を知ってどのようにしていくかが大切です。

有機野菜(土が汚染されていない状態で育てられた野菜)は、まだまだ高価で全てのものには
なかなか毎日使えませんが、高いと言っても手の届く範囲なので、
特別な日には有機野菜の食卓なんていう演出したいです。

下ごしらえの時に少し手を加えれば野菜の残留農薬や有害物質を大幅に削減することが
出来ると言われています。

日常よく使う 葉物は特に硝酸塩を多く含む野菜です。
しかしひと手間かければ大幅に削減可能です。

キャベツは内側にいくほど新しい葉なので、もっとも農薬を浴びている
一番外側の葉は捨てます。生で食べる場合には切ってから水にさらすことがポイント。
残留している農薬や硝酸塩、ダイオキシンがあっても切り口から水に溶け出し、
減らす事が可能です。炒め物の場合は、サッと30秒位ゆでこぼしてから使うとより安心!

小松菜やホウレン草は栄養豊富な野菜ですがとても硝酸塩や残留農薬の多い野菜です。
まず流水で根元を広げるようにしてよく洗い、切り口からお湯の中に農薬、硝酸塩、
ダイオキシンなどの有害物質が溶け出すので、たっぷりのお湯で栄養価を
壊さないくらいの30秒〜1分程度ゆでこぼして使います。
冷水で冷まし、流水につけてアクを取ってから使います。


食は命の源です。
毎日野菜を食べない人はほとんどいません。みんなが私事です

少しでも体に悪影響を与えるものをきちんと認識しながら、
根本的に改善していく事に興味、関心を持って過ごしたいですね。

買った野菜は古くなると溶けて腐るけど、
土が汚染されていない状態で育てられた野菜は枯れる
原因はなかなかディープでした。






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